内容説明
「国民国家が存在し、私を含めた国民が存在する限り、国民国家批判は終わらないし、終えることはできない。」国民統合の原理を可視化する刺激的な言説。最新の世界情勢に応答する論考を増補。
目次
戦後五〇年と、ある非国民のつぶやき
一九九五年八月の幻影、あるいは「国民」という怪物について
「国家理性」にかんする一考察―ヴァイツゼッカー批判
国民化と時間病
国民文学の脱構築
漢字文化圏における文化研究―文明・文化・民族・国民の概念をめぐって
国民国家と異文化交流―文化交流を妨げるものと促進するものとの関係についての理論的考察
国民国家の形成と自由民権運動
国家とナショナリズムをめぐる三つの断章
日本におけるフランス革命―戦後歴史学における国民国家とそのイデオロギーの問題を中心に
フランス革命と国民統合―比較史の観点から
国民崇拝の祭儀と神学―ジョージ・Ｌ・モッセ『大衆の国民化』を読む
戦後社会思想の転換―河野健二著「近代を問う」を読む
おわりに―国民国家論から見た「戦後」―国民国家のゆくえ
あとがき
三・一一後の国民国家論―『国民国家論の射程―あるいは“国民”という怪物について』を再読して〕
著者等紹介
西川長夫［ニシカワナガオ］
１９３４年朝鮮・平安北道江界郡生まれ。１９６５年、京都大学文学研究科博士課程単位取得退学。立命館大学名誉教授、文学博士。専攻は比較文化論、フランス研究（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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原玉幸子
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エッセイと講演録と書評を合わせて本にしていますので、やや纏まりに欠ける気がしますが、政治社会学者でなく文学博士であり比較文化論が専門の著者のフランス革命に関するエッセイが良く、そして、終章『国民国家論から見た「戦後」』での、「人はいかにして国家に回収されるか」が重く、考えさせられます。第二次世界大戦後のスピーチに感動した記憶があるヴァイツゼッカーが今回本書で批判されていたことの考察と、著者が何度も言及していたウォーラーステイン「世界システム論」には、チャレンジしてみようと思います。（◎2019年・冬）2020/04/24
